ひと息ばなし
column
2017.05.16
♪~ひん死の恋人!と言われてしまいました~♪
我が家のピアノを台所から座敷に専門業者によって移しました。
その確認で来られたUさんがこのピアノを見てびっくりして「今、このピアノはとても貴重なものでYAMAHAのU3ですね。現在国内では殆ど生産されていない貴重なピアノです。」とおっしゃられました。調律も何十年もしていなくて、今や孫たちの遊び道具で、勝手に開いてはデタラメに弾いていました。
音はだいぶ狂っていてピアノの中を覗いてみると確かにU3と表示されていました。
Uさんは、昔、このピアノを作っていたことがあるとのお話で「集中治療室で出合ったひん死の恋人という気持ちです。」と言われてしまいました。
音は狂っていたのですが、Uさんは「このピアノはショパンが似合うのですよ」と弾いて下さり、冬景色など数曲を見事な手さばきて奏でてくださいました。
最後にベートーベンの月光の曲も「このピアノには合います」とおっしゃいました。
私の大大好きな曲です。大喜びの私を見てまた弾いて下さり「私は楽譜は読めないけど作っていたので耳で覚えまして、習い始めたのは51歳からです。今年で退職します」
そして、「どうぞこのピアノを末代まで大切に残してください。とても良い価値のあるものです。」と何回も言われました。
この方との出会いがなかったら、このYAMAHAのU3は悲鳴を上げていたのに気付かずいたのです。ごめんなさい・・・。
幼い娘たちが大人になって嫁ぎ、放置していたピアノ・・・。
立派に修理して、このピアノにあった余韻の残る曲を手習いして、弾いてみようかと思ったのでした。