ひと息ばなし

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2009.12.05

村井町の宿場町を残したい

今年も師走となり、師ではありませんが駆け足で毎日過ごさせて頂いております。
★村井町の宿場町を残したい—-
村井町は、江戸時代には善光寺街道の宿場町の入口として茶屋、居酒屋、反物屋、米屋、宿屋、質屋があり村井宿として賑わいをみせていました。
近年、土蔵造りの建物や、昔の面影が無くなりつつあるこの町に、古きよき建築物のリフォ-ムをさせて頂きました。それは、上島歯科医院さんです。
□設計・監理 HAL設計室  □施工 ㈱滝澤工務店
土蔵造りのなまこ壁で、落ち着いた風情たっぷりの貫録ある建築物です。この前を通るたび、お施主さまに感謝したくなります。もし、ここに近代的な建物ができてしまったら、きっと村井の町は、この町の歴史が風化していくことに歯止めがかからなかったでしょう。
歯科医院の玄関の戸を開けて入ってみましょう。建物の奥まで続く長い土間が
すがすがしい空間です! お年寄りにもやさしいスロ-プもあり、土間の小石の入った洗い出しもいい感じです。これに水打ちがいいんです。
待合室—箱階段も大工の手を入れ復元し、どっかり座っています。
備え付けのイスも当社大工が心をこめて作り上げました。腰かけてみましたが
体になじみ、いい感じです。若き大工は医院長先生に褒めて頂いたと誇らしげです。
診察室に入ると、おお!-感嘆声が出ます。なんと6メ-トル以上の吹き抜け天井で、昔の黒い梁木が目に飛び込んできます。治療される方は、自然にこの天井の梁を見ることになり、日本の歴史を感じさせる建物に改めて敬意を払うに違いありません。
実は、この治療室の西側に医院長室があり、そこに古い欄間が入っています。
人物が描かれている欄間です。近くで拝見すると、家族を型どったような大人と子供が木彫りされていて、温かさが伝わってきます。
2階は、待合室からゲストル-ムへ箱階段で上がります。ここも昔の落ち着いた日本間です。また、別階段から上がると2階のフロアとゲストル-ムで天井板から梁木が丁寧に美しく、また、やさしく見えていて、この技術の高さに、工事に携わった工事代理人も誇らしげです。携わったのは60歳を超えるベテラン技術大工です。これは、若き大工の手本となるでしょう。
私は、幼き頃、川久保歯科医院であったこの建物に通いました。入ると10畳間程の畳の待合室があり、冬にはお炬燵もあったと記憶しています。
今の上島歯科医院は、そのあと開業されて30年余りにもなり、医院長先生と若くて美人のあっこ先生、そして歯科衛生士さんの明るい雰囲気に包まれて、村井の地域医療の重要な場所となりました。

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